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海上に放置される石油貯蔵施設

冒頭の写真は、紅海イエメン・ホデイダ沖に停泊する浮体式海洋石油貯蔵積出設備です。

(出処はJIJI.COMに掲載あった米国宇宙技術会社マクサー・テクノロジー社提供写真。)これまで何回か、スエズ運河での超大型コンテナ船エバーギブンの座礁、ソマリア沖海賊と紅海(Red Sea)に絡む地域の話題が続きました。今回もまた、紅海にまつわる話で恐縮ですが、お付き合いください。これもまた危険を伴う話題です。

 

インターネット上に、中東イエメン沖の紅海に長年放置されている石油貯蔵施設は、爆発の危険があり、環境破壊による生態系への影響はもとより、船舶航行に支障をきたす恐れがあるとのニュースがありました。

その施設は、イエメンの西部ホデイダ港付近に2015年から放置されている洋上の石油貯蔵設備で、45年前に建造されたタンカーが転用された施設です。もともとは、日本の石油会社エッソジャパン保有のタンカーでしたが、1988年に洋上石油備蓄施設としてイエメン政府に譲渡され、5年ほど前まで使用されていたものです。それが、内戦ぼっ発で反政府武装組織フーシの手に落ちて以来、メンテナンスも施されないまま放置された状態となりました。内部には110万バーレル(約20万トン)の原油が残ったままだとのことです。グリーンピースの広報官は「さび付きがひどく、いつ崩壊や爆発が起きてもおかしくない」と指摘しています。

 

反政府武装組織フーシはイランの支援を得ています。イエメン政府がサウジアラビアや米国から支援を受けていることにも反発して、フーシはイエメン政府に対して妥協する姿勢をみせておらず、同タンカー処理について政府側に対して石油の買い取りを要求し続けているようです。反政府側は、20万トンの石油を交渉材料とするだけで、海洋汚染などの現実の危険など一切顧みる気配はなく、イエメン政府・国連グループとのせめぎ合いという抗争となっています。

 

このイエメンの石油海洋貯蔵設備放置は無法地帯での政治問題であり、環境問題です。この20万トンの石油貯蔵施設は放置によって崩壊や爆発の危険が高まりつつあり、大規模海洋汚染の懸念があるにもかかわらず、全く管理が及ばぬ状態です。例えるなら、殺人組織の手元に、核爆弾のスイッチが渡ってしまったような状態です。

 

このままだと、大変なことが起こりそうな予感があります。

仮に、通常の管理者が石油貯蔵設備の解体等の処理を行う場合にしても、環境保護という観点では常に危険は伴うのに、世界でも最悪というほど戦闘が激しい海域での施設の放置(実質、反政府勢力による支配)であるので、危険レベルは想像を超えます。

 

私は今回のネット情報を見るまで、こんなに危ない状況が進んでいる海洋石油貯蔵設備が、世の中に存在することを知りませんでした。通常の海上施設には管理者がいて、万が一そこで起こる事故は、必ず管理者である運航船社や船主が処理することになります。そういう管理者がいない、石油貯蔵施設ほど怖いものはありません。

 

ふと、日本では、20世紀の終盤ぐらいから石油備蓄が必要だからと、結構多くの石油貯蔵設備が建造されてきたことを思い起こしました。こちらの方は、無論国家の備蓄計画の基づく施設ですから、管理の方は万全であることは間違いないでしょうが、脱炭素化が著しく進む現代において、将来は無用の長物となることが予想されます。少なくとも、日本の備蓄基地はしっかりと計画性を持って管理されるのでしょうが、世界全体で見ると、今後、放置された石油貯蔵設備の処理という問題が広範囲に発生する可能性を心配します。

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前回の話題に取り上げたイエメン沖に放置された石油備蓄基地のような、いつ爆発するか分からないような危険極まりない石油備蓄基地が自分のそばにあるとしたら、たまったものではありません。

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冒頭の写真は、紅海イエメン・ホデイダ沖に停泊する浮体式海洋石油貯蔵積出設備です。

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