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超大型コンテナ船(EVER GIVEN)のスエズ運河座礁(その1:座礁の原因は何だ?)

3月下旬にスエズ運河で、日本の船主(正栄汽船)が所有し、台湾の海運会社(エバーグリーン)が運航する大型コンテナ船“EVER GIVEN”が座礁事故を起こしました。

皆さんの記憶に残っていると思いますが、座礁してから一週間ほどして離礁しました。その事故により運河の通行待ちで一時は、400隻近くの船が地中海側・紅海側双方の運河の入り口手前や航路上で待機を余儀なくされましたが、離礁から一週間ほどでスエズ運河の運営は元に戻ったようです。ただ、座礁事故から2カ月ほど経過しますが、船(EVER GIVEN)はいまだにスエズ運河の航路上の待機場所である“グレートビター湖”に留め置かれたままです。

 

船体へのダメージもなく燃料油の流出もなかったことは、不幸中の幸いと言ってもよいのかも知れません。昨年の夏に起きた観光地のモーリシャス沖での日本船主の貨物船・座礁事故のような燃料油流出は免れたので、今回、環境への問題は起きていませんが、世界中のいろいろな人の目が注がれました。普段は1日当たり60隻ほどの船舶が行き来しているスエズ運河が航行不能になることにより、船舶運航会社はじめ貨物の受け荷主、さらには最終の一般の消費者まで及ぶ世界中の経済への影響は計り知れないからです。改めて、スエズ運河が世界にとって、重要な構造物であることを気づかせてくれました。

 

一方で、そんな大事な構造物であるのにも関わらず、そして、万が一でも起こしてはいけない事故の予防という観点からは、海運界全体が大らかすぎるのではと、考えさせる事故でもありました。操船については素人ながらやや厳しめに言うならば、構造物である運河と船そのものに、事故発生の原因があったのではということです。そもそもスエズ運河がどんな構造物か、座礁した船舶“Ever Given(エバー ギブン)”がどれほど巨大なのかをご紹介します。

 

スエズ運河はエジプトにあります。地中海側ポートサイドと紅海のスエズを結ぶ運河です。距離にして、193キロメートルありますが、その途中には船が通航の順番を待つ湖のような停泊場所である5つのすれ違いポイントがあり、それぞれのポイント間の航路を10隻から15隻ぐらいでコンボイを組んで、一定間隔そして一方通行で進みます。すれ違いポイント(船のたまり場の湖など)の間をつなぐ航路は一定の時間、同じ向きの船舶しか航行しないという仕組みです。

 

通航のルールは、大型船の制限として、喫水(船の深さ)20メートル以内、載貨重量トン240,000トン、最大幅77.5メートルという内容で決まっているとのことです。今まで、スエズ運河を通行できない船は、30万トンの大型タンカーぐらいだと言われていました。今回、座礁してしまった本船(Ever Given)の長さと幅だけでいうと、恐らく30万トンタンカーより、大きめです。ただ、タンカーの貨物の石油に比べコンテナ貨物の方が重さは軽く、コンテナ船は満載時でもタンカーの深さほどにはならず20メートル以下だからルール上、通航可能の取り扱いとなっているのです。

 

今回の座礁の原因について、スエズ運河当局からは究明中とのコメントがあるだけで、事故から2カ月経過しても、正式な発表はいまだ聞こえてきません。

 

私の心配は、そもそも20,000個型の大型コンテナ船が貨物満載で、スエズ運河を通過することに、危険をはらんでいないか?というものです。大型コンテナ船が貨物を満載すれば、15メートルぐらいの深さまで船は沈みます。スエズ運河の200キロメートル近くの長さの運河の深さを常に20メートル以上に保ったままの状態にしておくには、チェックや浚渫に莫大な作業が求められるのだろうと思いますが、実際のところどうなっているのかが、気になります。

座礁した“EVER GIVEN”号が、運河をふさいでいる新聞の写真をご覧になった皆さんは驚いたかもしれません。運河の幅に比べて、船がやたらと大きく見えたのではないでしょうか。運河の幅が300メートルで、船の長さが400メートルです。船の幅が60メートルですが、その船が、時速1キロ(8ノット)ぐらいで航行していたのだと想像します。臆病な私から見ると、危なっかしく感じます。コンテナ船の超大型化が世界的なブームで建造されている中、今まではスエズ運河の通航規制の特別な見直しは無かったと理解しますが、今後、そのあたりの検討が必要になるかもしれません。

 

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