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福島第一原発・処理水の海洋放出決定について

東京電力福島第一原子力発電所の構内に溜まった、原発事故の処理水の処分について、4月13日に政府は海洋放出する方針を決定しました。

10年前の東北沖震災による地震と津波の影響を受けて爆発した原子炉の冷却用に使用された水は、既にタンク1000基の9割以上を埋め尽くし、それ以上のタンクの設置するスペースはないとのことです。あと2年もすれば、完全に満杯です。

政府や東電によれば、専用装置による処理により主要汚染物質は取り除かれており、唯一残るトリチウム(三重水素)は安全基準値以内なので、世界の他の地域での取り扱いと同様に、海上に放出しても問題ないとの見解です。処分方針を巡っては政府が何度か、全国漁業協同組合連合会(全漁連)に対し調整の申し入れを行ってきましたが、賛同を得られていません。菅総理から全漁連の岸会長と面会し説明したのですが、全漁連の合意が取れない中政府方針の決定がなされました。

 

タンクが溢れる直前ですから、今が何等か判断を下すタイミングであることには、違いありません。その判断の拠り所を何に持っていけばよいのでしょうか。まず、一番切実なのは、そこで働いている漁師さんです。国は福島沖で獲れるお魚は安全ですというけれど、それを選ぶのは消費者です。国が安全と言うからと、素直に消費者が積極的に福島沖産のお魚を選ぶかどうかは疑問です。これは国内に限られません。海外の韓国や中国は、処理水放出後には福島沖の魚を輸入しないと既に言い始めています。ただでさえ、事故後の漁獲高の落ち込みは顕著なのに、これからさらなる悪影響が懸念されます。

風評被害が起きることも想定して、国や東京電力はもう早々、風評被害があるときは損害賠償で対応するとの表明を発しています。何とも場当たりな表明です。お金を出せば納得してくれるだろうとの、安易に逃げ道を探っていることを感じます。しかし、実際それを償うのは将来の人達です。本気で福島の漁業そして、日本の将来の安全を考えているとは思えません。

さらにネガティブに捉えるならば、福島沖で獲れるものを購入しないという人は、それ以外の海域で獲れる魚介類、例えば宮城県沖の産物にも抵抗を示す可能性があります。海の水は福島だけに留まるものではありませんから。

 

「大阪湾も負担。できれば、全国各地で負担。そうすれば風評被害が福島だけに集中することは避けられる」と元大阪府知事の橋本氏がツイートで発したとの、記事を読みました。

彼らしい小気味の良い、指摘だとは思います。なんらかの意思決定をして行動を起こさなければいけないだろうからという、気持ちだとは思います。福島だけが風評被害を被るのはフェアではないし、トリチウムを含む水は汚染水ではないのでから、日本中の海に放出すればよいという考えは、心情的には正しいように感じられます。しかし、実際にそれをやってしまったら、日本中さらに収拾がつかないことになりそうです。

 

意思決定をするにあたっては、どのような事態でも時間的な制約があります。期限があります。無理やりに絞り込んでいくより他はないというような環境もあります。今回は、そんな状態ではないでしょうか。しかし、あまりにも丁寧さが不足しています。将来生まれてくる人たちにも安全な環境を残して置かなくてはいけないという配慮が欠けているように思えます。原子力については、こんな発電所処理を繰り返してはいけないと考えます。

 

福島沖漁獲量については、震災前と震災後試験操業の発表値をネットから見つけましたので、拝借しました。かつては全盛期25,000トンほどの漁獲高がH30年時点で、漸く4,000トンに戻ったという回復状況でしたが、この処理水問題がさらにどんな影響を及ぼすかは気に掛かるところです。

 

 

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