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脱炭素社会と海運の将来(その4:将来の船が運ぶエネルギーは何だ?)

以前3回のコラムで、自動車・船舶の燃料は、従来使われてきた石油などの化石燃料から、今後の20~30年間に一気に他のものに切り替わっていくことだろうと書きました。

とすれば、海運会社が現在運んでいるエネルギー物資も、石油や石炭の化石燃料類から、他のエネルギーに将来は変わっていくことになります。(はずです。)

 

20世紀はまさに石炭と石油が世界を支えた世紀で、海運業のみならず、ほぼすべての産業はそれらの化石エネルギーの恩恵を受けて突き進みました。しかし、20世紀の終盤を迎えるころから、このペースで消費していくと石油が枯渇するというテーマもありましたが、それにも増して、石油・石炭の大量消費が原因で進行する地球の温暖化が問題となり、石油・石炭の消費を一刻も早く、停止すべきだという動きに変わっています。そして、石炭・石油に代わるものとして、水素・アンモニアを中心とする、新たなエネルギー源が注目されています。(これについては前の3回のコラムをご覧ください。)

海運界にとっては、自分の商売道具である船舶をどのエネルギーを動力源として運航するか(動かすか)ということも大事なテーマですが、それよりも大事なことは輸送の利用者からご用命を頂く貨物が何になり、どれだけ多く運ばせてもらうかということです。輸送の対象としてのエネルギー(貨物)が何になるかを予想することは、海運事業の将来を成功に導く大事な要素です。新しいエネルギーが何になるかを予測してエネルギー供給業者に対して、先手を打って船舶の用意をして効率的な輸送方法を提案することが、海運界に求められます。そういう意味で、海運界は今まさにその潮目を読むタイミングを迎えているのだと思います。

 

私は、自動車のエネルギー源の中心は “水素”だろうと、そして船舶の動力源の主体は “アンモニア”になるかもしれないと勝手な予測を立てました。あくまで個人の考えですので、その確率は不確かですが、いずれにせよ、海運界はその輸送物を当てるかどうか次第で、新しい商売の先駆者になるかどうかの分かれ目になります。

 

面白いことに、水素にしてもアンモニアにしても、今まで輸送してきた石油や石炭のようにどこに埋蔵しているかが今現在分かっているという代物ではないのです。仮に水素・アンモニアが輸送の対象になるとすれば、どの製造業者がどこで、どのようにして製造するかを知り、さらにどのように輸送すればいいのかを研究しなければなりません。要するに、将来の需要を読み切って、的確な意思決定をする製造業者から水素やアンモニア輸送の注文を受けることできれば海運業者として成功することになるのです。

 

水素は宇宙の中で、一番多くある原子らしいですが、地球上には水素分子としてはほとんど存在していません。水素を作り出すことが一苦労です。今、水素分子を製造する最も一般的な工業化された製造方法は化石燃料を水蒸気に反応させる方法です。これでは、CO2を発生させないという訳には行きません。CO2を出さずに水素を作り出すには、水(H2O)の電気分解による方法があります。これにも当然エネルギーが必要とされます。そのエネルギーを確保するために、化石燃料を使ってしまってはCO2排出を伴うことになりますから、そういうことにならないために、風力とか太陽光など自然エネルギーを使うことになるのだろうと考えます。世界には、他は何にもないけれども風力とか太陽光だけは、人間にとっては生活するには困るというほど、有り余っている場所が存在します。しかしそのような場所は通常、人間が多く生活している場所からはかけ離れたところに位置しているため、簡単には消費地まで送電できない地理的な関係にあります。分かりやすく言うと水素の生産地となるのは、世界でも際立って厳しい環境の太陽光が1年中降り注いでいるところや、1年中風が吹き続ける場所になるのでしょう。そういうところは一般に辺鄙なところです。人が住むには適さない、風の強い海岸とか、一年中太陽光が降り注ぐ熱帯の砂漠などです。将来はそのような場所の近くの港が、水素基地になりそうです。

 

ぼちぼち、具体的な水素の生産基地候補が挙がっているようです。水素の開発プロジェクトも立ち上がっています。液化水素輸送専用船構想もあります。水素が気体から液化する気温はマイナス252℃で、その技術は液化天然ガスの扱いよりも一段高度なものが求められますが、その受け入れ準備も進んでいます。

 

アンモニア輸送船の構想も、現在、徐々に進んでいるようです。アンモニアの分子式の NH3を見ればお分かりのように、水素を含んでいます。水素キャリアですから、燃やすとエネルギーを生むと考えてよいようです。アンモニアの製造にあたっては、水素分子を作るのと同じように、水と窒素にエネルギーを加えることが必要になりますから、結局、水素を作る工程と同じようにアンモニア製造工程にも、いかに効率よく自然エネルギーを持ち込むかということが課題となります。水素と同じように、アンモニアを製造する場所は、自然エネルギーの豊富な場所となり、その需要地は世界中各地になることでしょう。従って、エネルギー生産地から消費地に向け、この分野(アンモニア輸送)でも、海運業が活躍することになりそうです。

 

21世紀の半ばまで行くと、世界の海運界はまた新しい展開が生まれてくるのでしょう。私の予想も外れるかもしれません。もっと先の将来の話は全く、想像もつきません。わたしが消え去っている22世紀の初頭のエネルギーはどのようになっているのでしょう。その場面には居合わせることはできませんが、私の直感では太陽光が、あらゆるもののエネルギー源になっているような気がします。その時は、天国(?)から、覗きに戻ってきたいと思います。

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