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造船業の話(その2:日本の特徴=中堅造船所の踏ん張り)

前回コラムで、現時点の世界の造船業は中国・韓国がダントツのシェアを占めていることについて述べました。

今回は、そのあとの三番手をキープしている日本が、その苦しそうに戦っている姿を見て思うことを、ざっくばらんに語らせて頂こうと思います。

 

今、日本で進みつつある造船業の再編の特徴は、いわゆる造船・重機の大手企業が中小を飲み込むのではなく、地方の造船専業の中堅造船所が大手の造船部門を引き受ける形の再編が進んでいることです。造船業だけのことではないですが、従来の業界再編の在り方として、よくあるパターンは大手が中小を吸収するという進め方でした。しかし、今の造船業界はかつて、中心的な役割を担ってきた大手の造船会社が、すっかりやる気を失っているのです。この表現は情緒的で適切ではないかもしれません。しかし、事実としてかつての大手造船所が、造船事業の縮小に舵を切っているのは事実で、彼らの経営の関心は明らかに造船業から離れています。

 

経営資源の視点で眺めてみれば、世の中全般に言えることですが大手の会社のほうに資本に余裕があるのが通常です。そしてその資本を活かして、さらなる規模拡大のメリットを狙って、大手企業が、ほかの企業を吸収するというのが従来からよくある、再編の形だったのです。しかし、もはやそのやり方は通用しないようです。大手造船所は、規模を拡大するどころか、今まで事業の中心として進めてきた造船事業を次々に手放すというのが、日本の中で行われていることです。かろうじて、中堅造船所が業界改編で乗り切ろうという動きを見せています。そこで、伝統ある大手造船会社が造船事業を断念する事情や理由を探ってみる必要があると考えました。

 

そのヒントはヨーロッパにもあるような気がします。前回のコラムにも掲載しましたが、この50年間の建造の推移のグラフ(国土交通省作成報告書 “造船市場の現状” より引用)を見ると、日本の場合は概ね、一年間の新造船建造量が過去から1000万総トンから2000万総トンで、変動がありません。ところが、欧州の新造船建造量は、かつて1000万総トンから200・300万総トンまで、減少しています。彼ら、欧州人に言わせれば、お前ら(日本人)が船舶の安売り攻勢をしたからだろうと、言うことになるのかもしれません。

1970年代のまだ、日本人労賃が低めのころは、日本の造船業界が世界におけるマーケットのシェアを着々と増やしていきました。しかし、2000年ころよりは、低い労賃の優位性を武器に、中国・韓国が一気に造船建造のシェアを高めていきました。たまたまこの20~30年間において、中国・韓国の造船業の競争力の一番の要素が労賃であったとしても、今後いつまでも、技術や労働環境が刻々変動する世の中でその状況が続くとは考え難いです。

因みに、現在の賃金水準の水準がどうなっているのかを探してみたところ、三菱UFJ銀行のアジア・オセアニア各国の一般工の賃金比較(月額基本給)レポートなるものを見つけました。調査実施は2018年12月~2019年1月です。中国は上海や北京など10の都市、韓国はソウル、日本は横浜が調査対象です。その結果、中国は$450~$700、韓国$2,200、日本$2,800という結果です。必ずしも造船業の賃金比較ではないので、これをもって造船業のコスト構造が分かる訳ではありませんが、大筋、近いところで推移していると推察します。この数値を見る限り、中国は一人当たりの労賃ではまだコスト競争力があるかもしれません。韓国の場合、ソウルの製造業労賃ですので、造船業ではないのが明らかですので、比較の対象にならないかもしれません。

 

現在は、状況を柔軟に捉えるタイミングを迎えているような気がしています。欧米や日本はそろそろ発想を変えて、造船業への取り組み方を見直すチャンスではないのかと感じているのですが、どんなものでしょう?もはや、造船業は単なる労働集約型の多くの労働者を利用する産業ではないはずです。

自動化の機械やロボット、AIを駆使した作業の流れで、造船所内の工程も相当の省力化が進んでいるはずです。船舶自体の進化もあるはずで、地球の温暖化対策のために、化石燃料から燃料源を変えるための新しい動力推進機関の開発や、省力化・自動化運航システムの開発など中国や韓国だけが興味を持っているとは到底思えません。日本のかつての有力造船会社にも、新たな巻き返しを期待したいところです。

 

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