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造船業の話(その1:日本の造船業界の改編と世界の動き)

新年早々の日本海事新聞に、「今治造船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)連合が動き出した。」とのニュースが掲載されました。

合弁会社の社長は「日本に造船を残す。」と力強く決意を語りましたが、受け取りようによっては日本は土俵際の切羽詰まった状態とも取れます。

昨年夏ごろに業界1位の今治造船が第2位ジャパンユナイテッドが合弁会社を発足するとのニュースが発表されて以来少し時間がかかりましたが、ようやく細部の詰めがまとまり発表となったようです。そのほか昨年には、新来島ドックによるサノヤス造船買い取りや三井E&S造船の一部株式の常石造船への譲渡、さらには三菱重工グループ長崎造船所の大島造船所への譲渡に関するニュースなどが報じられました。いずれも、造船事業の国際競争が激化する中で、コスト競争に生き残るための対応策だというように、一般紙・業界紙の解説があります。

 

国内の関連ニュースや世界の動きを俯瞰してみると、造船業界には他の業界にはない独特な動きや傾向があるような気がしてきました。世界各国の事情や産業政策の違いが殊更感じます。露骨な言い方をすると、世界レベルで眺めてみるとチカラを入れている国家は中国・韓国だけで、それ以外の国は造船業に冷たい見方をしているようで、気になります。では、日本はというと、何とかくらいついていこうとする動きがあるものの、何故か大手というよりは、中堅企業や地場産業としての造船業が踏ん張っているという感じがします。

今日は、世界の造船業の推移を中心に触れます。日本は戦後、世界一位の造船国家としてしばらく君臨してきましたが、20世紀末ごろから韓国や中国の成長に押されて、現有規模を維持するのに精いっぱいの感じです。現在は何とか中国・韓国から離されないようにとの思いで、専業の中堅造船所が食らいつく動きがありますが、造船以外の部門を持つ大手の重厚長大型・電気機械産業は、もう造船とは縁を切っても構わないという動きにも見て取れます。ほんとにそれでいいのかなあとの、思いが出てきました。私自身40年近く、造船業とは比較的に近いところの海運業界で働いていたにもかかわらず、結構他人事のように、見過ごしてきたのではないかとやや反省しています。気が付いていたとしても、何もできなかったでしょうが・・・。

 

まず、1枚の資料“世界の荷動き量と新造船建造の推移”をご覧ください。これは、国土交通省が平成29年12月に作成した報告書“造船市場の現状”の中にある、データです。第二次世界大戦が終わった1945年から25年を経過した1970年からの推移が見ることが出来ます。棒グラフの青色が日本です。1970年代は世界が作り出す全船舶2000~3000万総トン数の50%を日本が建造していました。2010年代は世界が作り出す全船舶8000~10000万総トン数の70~80%を中国と韓国が分け合って建造しているという内容です。

この50年間、日本の建造量は1000~2000万総トンを維持するものの、中国・韓国の増加にはついていけていないのが実情です。

 

今般の日本の造船業界の編成替えの理由には、中国と韓国が国家ぐるみで、安値攻勢をかけてくるので、ぎりぎりまで戦えるようにするための体質強化だと言われています。昨年春ごろの新聞で、今治造船の社長さんが、「我々はコストでも、技術でも負けない。ただ、船価では負けることがある。平然と赤字受注する(他国の)造船所があるからだ。」と述べていました。

 

この建造量の推移表を見ると、かつて、1970年代は世界の40%を占めていた欧州の造船量が、ほぼ数パーセントしかなくなっています。改めての発見ですが、ここ数十年造船業の主人公にアメリカがいないことが分かりました。今や、世界の造船マーケットは、中国と韓国が7割がたを占めており、そのあとをかなり引き離されて日本が追い、欧米は無しに等しいという状態です。ほかにも産業は数多くありますが、このような構造の産業は余りないのでは?と思います。

 

なぜ、こんなことになったのでしょうか?

別の表現で語ると、なぜいわゆる先進国は、造船業から離れようとしたのでしょうか?

余りに船舶そのものが低付加価値の製品だから?

船舶の工程の作業自体が単純で、安い労働力で建造が可能だったから?

もしそうだとしたら、さらに先を行き、自動化の機械を用いての工程にするなどの変革はできないのでしょうか?疑問がわきます。

日本の造船所も欧米流に、中国・韓国の非合理性にはついていけないというスタンスをマネして、造船業から離れていくのでしょうか?もう少し、踏み込んでみては思います。

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