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船の通信の移り変わり(その2)

前回のコラムでは、モールス信号が20世紀初頭から船舶で使われていたこと、私の入社時(1979年)時点も、まだ短波無線が中心だったことをお伝えしました。

今回は、船の通信がどのように変わってきたのか中心に書き進めます。

モールス信号を発明したのは、アメリカ人のサミュエル・モールスです。1837年のことです。初めは、電線を通じての電気信号のやり取りです。ご想像の通りですが、電線が媒介するとなると、海の上の船舶では使えません。無線通信を発明したのは、イタリアの電気学者のマルコーニです。1895年になって彼は2.4㎞先へ、モールス信号を無線で通信することに成功しました。さらには、1901年イギリス-カナダ間3600㎞の大西洋横断実験を行い成功しました。その後、実用化されて1912年に氷山衝突事故を起こしたタイタニック号には、既にモールス信号の装置は備え付けられていました。この時は、衝突の何時間か前に氷山の存在を知らせる他船からのモールス信号を受信したとの形跡もありますが、これに対して社長・船長は受け流したとの話があります。また、衝突後タイタニック号からも発信して救助を求めたようですが、その緊急連絡が近くを走る船舶が届き、現場に最初の船が駆け付けたのは数時間たってからだったとのことです。通信機能の重要性やその機能の認識も実地の訓練も十分ではなく、機能が果たせず悲劇を起こしました。このように、モールス信号の実用化にあたっては乗り出し時の苦労や失敗がありましたが、徐々に定着しました。外航海運の世界では、20世紀初頭から1970年代頃までの数十年間は船陸間通信の中心は、モールス信号が担っていました。

 

新しい技術が生まれるには、しばらく時間が掛かりました。そして、出来上がったのが宇宙衛星を介しての通信です。第二次世界大戦後、米国・ソ連の覇権争いが激しくなる中、宇宙開発が進み宇宙空間を利用する通信の分野でも徐々に軍事用の技術が活かされるようになります。アメリカの通信衛星法に基づき1962年に国策会社の通信衛星会社(コムサット)が設立され、その翌年には大西洋上に静止衛星を打ち上げられ、衛星通信が実用化されます。1976年には太平洋上、大西洋上、及びインド洋上の3つの衛星が打ち上げられ地球全部がカバーされるに至ります。1978年にマリサット衛星(のちのインマルサット)が導入されます。この利用により、電話、テレックスが可能となります。

その後、欧州での別個の衛星計画も出てきて乱立の可能性もあったのですが、これらの海事衛星組織がIMCO(国際海事機構=現IMO)の下、国際的に統一してインマルサット(INMARSAT=国際海事衛星機構)となり、1979年にはインマルサット条約が発効します。この時点から、世界の海上通信は、国際的にも統一された仕組みの海上衛星を中心とする通信サービスに移行します。日本においては、当時のKDD(国際電信電話株式会社)がコムサットと1978年に契約を結び、山口県に海岸地球局を建設し、日本国内と船舶との衛星通信が可能となりました。

 

このように、モールス信号の導入から半世紀以上の年月を掛けて、陸上の拠点と海上を航海する船舶と結ぶ通信が進化していきます。さらに20世紀の後半から進化が加速し、電波の利用手段メニューが豊富になりました。通信衛星の利用開始当初は、電話とテレックス、FAXぐらいしかなかったのですが、今の時代は、電波で運べるものは、映像、音声、VRなんでも飛んで行きます。昔の通信衛星が無い時代は、一旦船が陸を離れたら、陸上の人間から事細かに指示を受けたり、依頼を受けるということはまれだったですが、今は、陸上からの連絡・指示・要望がどんどん来て、反対に船からは船の状態や貨物の状態を常に陸上へ報告しなければならない環境になったようです。これが、仕事だと言われてしまえばそれまでですが・・・。

通信衛星とは縁のなかった昔の船乗りさんによれば、一旦大海に出たならば、誰の邪魔をされずに航海するのが、最大の魅力だったとのことでした。

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