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エネルギーの変遷と海運業(その3:天然ガス/LNG)

人類が石油を、エネルギーとして広く利用し始めたのは19世紀からです。

そこから、1世紀も経たぬうちに天然ガスの利用が始まりました。成分はほぼ同じのようですが、気体のまま場所を移動させたり、貯蔵したりの取扱いが面倒だからか遅れての登場となったのでしょうが、考えようによってはそのたった100年で、石油が厄介者になりつつあって天然ガスが石油の立場に置き換わるのは、早すぎるようにも感じます。結局は天然ガスも石化燃料であることには変わりはなく、石油と同様に中継ぎのエネルギーなのかもしれません。

さて、石油も天然ガスも地球の中の地殻に、生物遺骸が泥(泥質堆積物)と一緒に交じり合って堆積したものだそうです。石油と天然ガスとの生成の違いは、生物遺骸のタイプによりますが、主として生成場の温度の際で決まるとの事です。石油は110℃前後、天然ガスは150℃前後の温度環境で、何百万年以上もかかって生成されます。(資料は著書「石油文明はなぜ終わるか」田村八洲夫著、東洋出版の3ページより)

ということで、ほぼ成分は一緒と考えてよさそうです。天然ガスの主成分のメタンはC₁H₄で炭素と水素から成ります。石油も炭化水素であることには違いないのですが、一つの化学式で書き表せる作りではないそうです。水素成分がやや少なく、他の成分の硫黄や窒素も含まれます。ということもあって、燃焼時の二酸化炭素の排出量の比較は、石炭を100とすると、石油が80、天然ガス57とのことです。硫黄酸化物の排出は、石炭100、石油70、天然ガス0であり、今、環境にやさしいエネルギーとしては、天然ガスに注目が集まっています。(排出量比較の値は、著書「トコトンやさしいエネルギーの本(著者:山﨑耕三)」より)

 

Sections of pipe on top of wooden supports at an construction site for natural gas. Construction of gas pipeline to new LNG plant. Excavated trench to install gas supply pipework for the power station

ただ、天然ガスの形状は気体ですから、陸上であればパイプラインで移動させることが出来ますが、船では気体そのものを運ぶわけにはいきませんので、氷点下162℃まで冷やし液状化して、輸送しています。天然ガスの世界貿易は、かつて殆どがパイプラインによるものでしたが、最近は約3割がLNGとして海上輸送されるようになっています。では、液化天然ガス(LNG)として、天然ガスを冷却して液化の保管を初めて実用化したのはいつかと言うと、20世紀初頭のアメリカです。当時のアメリカの都市部では、冬に必要な暖房用の天然ガスの需要があったのですが、それを夏の時期にも輸送して貯蔵しておくため、天然ガス需給の季節調整用の貯蔵形態として開発されたのです。当時のアメリカでは、天然ガス生産地は大半がテキサス州など南部・西部でしたが、暖房用の天然ガスの消費地はニューヨークなど北東部の大都市でした。アメリカ国内の生産地と消費地とを結ぶ数千キロのパイプラインを敷設するにあたり、利用効率を高めて採算を取るには、年間を通じて均等にパイプラインを利用する必要があります。そこで、夏場に使われない天然ガスは、消費地で冷却用タンクを設置し、液状化して保管することになりました。冬場の需要時だけ利用するという大きな容量のパイプラインを敷設するのではなく、一年中稼働する、ほどよい容量のパイプラインを敷設して、夏場に消費地のタンクに受け入れた天然ガスを冷却し、液状化して保管したのです。そして、このアメリカ国内での天然ガスの貯蔵技術が、将来のLNGの海上輸送につながることになりました。(参考文献:「LNG 50年の軌跡とその未来」、著者:今井伸・橘川武郎、発行:日経コンサルティング)

 

船の世界では1960年ごろ、米国、英国、アルジェリアを拠点とするLNG船の運航が始まりした。日本に初めてLNG船が入港したのは1969年のことで、東京ガスと東京電力がアメリカ・アラスカから横浜港に輸入したLNGを運んできたポーラ・アラスカ号です。この時の輸送には、日本の海運会社は関わりがありませんでした。しかし、ここから日本海運と日本造船界は協力して、LNG輸送に取り組むこととなります。10年余り経過した1980年代の初頭には、日本国のエネルギー政策に応える形で、造船技術や運航技術を高め、日本の海運会社は共同でLNG輸送を始めます。その後、日本は世界のLNG輸送をけん引する形で推移しました。今や、世界のLNG運航船の3割を日本の海運会社が運航していますが、天然ガスの世界埋蔵量は可採年数だとおよそ50年分です。使い続けることができるのは、人類の未来時間のほんの一瞬の時間です。すぐにでも、次の手立てを考えなければなりません。2030年間後は、海運会社によるエネルギー輸送の内訳はどのような構成になっていることでしょう?!

 

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