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エネルギーの変遷と海運業(その2:石油)

前回のコラムでは、化石燃料(エネルギー)に対する社会の見方が変わり、化石燃料の利用を避けようという動きになりつつあることを述べました。

化石燃料を輸送物として運び、船舶の動力源としても利用している海運業にとって、影響が出てくるのは間違いありません。外航海運業におけるエネルギー輸送と言えば、通常、石炭・石油・LNG・その他の石油製品などを大量にかつ安全に運ぶために、その輸送に特化した専用船により行われますが、一般の方にとっては、普段の生活でもエネルギーそのものを目で見ることはまずありえないので、船で運ばれる輸送物との結びつきをイメージすることは難しいかもしれません。その辺りを掘り起して、今後の海運によるエネルギー輸送に迫ろうと思います。

 

比較的、一般生活になじみがあるというか、イメージを抱きやすいものは石油でしょうか。普段は石油と一括り(ひとくくり)で表現しますが、普通の生活でじかに見る石油製品は自動車の燃料となるガソリンだとか、ストーブに使う灯油のように限られるだろうと思います。稀に外国航路でガソリンとか灯油を運ぶこともありますが、これらは石油製品であり、通常海外から輸送されて輸入するものは原油です。通常、ガソリンなどの石油製品はその原油を日本国内の製油所で精製して作られ、国内に出回っているのです。

海外から運ばれてくるのは、石油の油井(油の井戸)から汲み上げたままの素の油である、黒いドロドロした原油です。一般的に、長さ300メートルを超える巨大な船(タンカー)により、生産地から運ばれてきます。日本で消費する原油はほぼ100%、海外からタンカーにより輸入されます。生産地は中東から90%であり、かなり偏りがあります。

(以下の2019年経済産業省エネルギー白書をご参照下さい。)

 

 

今や、石油文明の真っただ中ですが、石油の利用が世界に浸透したのはつい最近です。19世紀の中ごろまではまだ手掘り採掘するにとどまり、それを機械掘りで、大量の自噴生産ができるようになったのは、1859年、米国ペンシルベニア州でのことだそうで、本格的な石油産業として成り立つのは20世紀の初頭です。1903年には、ライト兄弟がガソリンエンジンを開発し、人類が空を飛ぶことに成功しました。船舶機関の内燃化が本格化し燃料として石油を利用し始めたのも、この頃です。世界の本格的な海運業もほんの100年ぐらいの歴史しかありません。

 

ここに「国産と輸入原油供給量の推移」のグラフがあります。(出所:2019年 経済産業省エネルギー白書)日本での原油利用は、太平洋戦争終了後に急激に増えたことが読みとれます。

 

 

  石油ショックの1973年頃がピークで、その後は若干のでこぼこがあるものの、最近はゆるやかに減少の傾向があることが分かります。今後の原油の輸入規模を予想するに、地球温暖化を懸念しての化石燃料利用を抑制する世界の趨勢、また限りある石油埋蔵量と言う観点からも、その減少の度合いがより高まるだろうと、私個人は予想します。日本海運は、安定した収入を確保するため石油輸送を続けたいところですが、日本の次なるエネルギー源を見極め、その輸送への切り替え準備や、船舶の動力源の開発を進めるのが必要な激動期に突入しつつあります。

 

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