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貨物船、モーリシャス沖座礁・重油流出事故について。

日本の長鋪汽船関連会社が保有し、商船三井が運航するばら積み船(積載可能トン数:約20万トン)“WAKASHIO”がモーリシャス東岸沖で座礁し、燃料油約1000トンの重油を流出する事故が起きました。

サンゴ礁の美しさが売り物で、世界の観光客が集まるモーリシャス沿岸が、油まみれの姿は報道されている通りです。観光国のモーリシャスが、世界からの観光客呼び寄せに支障をきたし、産業も日々の生活にも大きな影響を受けるだろうと心配です。

 

事故の起きたモーリシャスの国そして住民にとって大きな災難でしたが、漏油の原因の海運会社も、大変な重荷を背負わされているだろうと察しています。海運会社出身の筆者は、海運会社の基本は生命・貨物の安全第一であり、事故を起こした当事者も海難事故防止の徹底は怠っていなかったと確信します。さらには、海洋資源の保護、環境保護の観点に立つさまざまな対応にも配慮がなされていたと考えますが、その観点から、適切な行動が取れたのかというと、事故直後の対応にやや疑問が残るところがあります。私の知らない情報もあるでしょうし、私が見落としていることなども多々あると思いますが、率直に書いてみます。但し、狭い見識と情報、そして乏しい経験しかありませんので、無責任なことを言っているとのご指摘があれば、お受けします。

seychelles giant turtle close up portrait in the water

 

気になった点の第一は、事故発生から最初の事故報道までの時間経過が長いことです。新聞やテレビのよる初めて本件報道があったのが、8月11日ですが、実際の座礁事故はモーリシャスの現地時間で7月25日の7時25分だそうです。事故から日本での発表まで、2週間以上経過していたのです。8月6日に燃料タンクの亀裂が生じ、燃料の流出したことを受けて、ニュースの報道となったということなのでしょう。この2週間何もしていなかったのでは無く、離礁作業(船をサンゴ礁から引き離す作業)を進めていたが、気象状況が厳しく、作業が滞ったとの情報があります。また、船の燃料油を引き抜く作業を船主がサルベージ会社に早期に要請していたとの情報もあります。そのどの内容が正しいのかは、明らかではありません。全ての情報が開示されることは無いでしょうし、私の理解不足であるのかもしれません。しかし、座礁から報道発表までの、余りの時間の長さが気に掛かります。事故情報がタイムリーに流されれば、現地から近い位置にある、救援団体などの関係者の知恵や支援が得られたかもしれません。座礁だけでは、ニュースにならないのでしょうか?

 

疑問の第二点は、重油の漏油防止対策が適切だったのかということです。離礁作業も大事ですが、その際に、発生が予測されるタンクの亀裂による重油の海上漏洩について、どのような処置がなされたかです。まず、離礁作業の前にするべきことは、燃料油として積まれている重油を抜き取ること、同時に万が一、重油が船舶から海へ漏出する場合備え、オイルフェンスの設置を徹底することではないでしょうか。7月25日の座礁から、8月6日の燃料流出まで、10日余りあったのだから、その間を利用して、燃料油抜き取り手配とオイルフェンスの設置をすることができなかったのか?船体亀裂前の事前のフェンス設置により、かなりの燃料油の海上での拡散を防ぐことが出来たのではと考えてしまいます。報道によると、波の高さが4メートル前後もあり、オイルフェンスを張っても乗り越える可能性もあったとのコメントもありました。

地理的にオイルフェンスの供給地が近場に位置しないこともあったのかもしれません。これについては、専門の方の話を聞かなければ分かりません。しかし、海上における油の拡散を防ぐ対応というのは、かなり昔からのテーマだったと思いますので、せめてモーリシャス島の陸地までの拡散を防止するという手立てが取れなかったものかと残念に思います。海の救急体制は、ある程度は国際機関により整備されているとは、思うのですが・・・。

Powder blue tang (Acanthurus leucosternon) over a coral reef, the Indian Ocean

現在、世界中を航海する船の燃料は、ほぼ100%石油です。船は航海をするに必要な分量の石油(通常はC重油)を積み込んでいるわけです。起こしてはいけないこととは言え、一旦、船体事故が起きたら、C重油の漏油の可能性は残ります。船体事故を発生させないことが、関係者のすべきことですが、次に考えておかねばならないことは、起きてしまったら、災害の拡大防止策を取ると言うことだと考えます。今回の座礁から、漏油発生までの10日間余りについての、対応には課題が残ったのではと考えます。燃料を石油に頼っている以上、今後もこの類の事故は起こります。今回、燃料油抜き取り作業やフェンス設置が遅れた理由を、関係者の皆さんは改めて分析して今後に活かしてもらいたいです。

 

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