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海を遠回りする外航海運(スエズ運河を使わないのはなぜ?)

アジアとヨーロッパを結ぶ船による貨物輸送には、二つのルートがあります。

一つのルートは紅海と地中海とをつなげるスエズ運河を経由するルートです。もう一つは、アフリカ大陸の最南端(南アフリカの喜望峰)を回るルートです。普通は、距離の短いルートであるスエズ運河経由を選ぶのが一般的です。ところが、新型コロナウイルス感染が広がって世界の荷動きが激減する中、外航海運のコンテナ船の場合、配船パターンをわざわざ遠回りの喜望峰経由に切り替える動きが拡大しました。

 

そのあたりの事情を、眺めてみます。

例えば、ロンドンと横浜間を例に取ると、アフリカ大陸をぐるりと回る場合では、14,500マイル(26,900キロメートル)かかるところを、スエズ運河を通れば距離は11,000マイル(20,400キロメートル)となり、24%の短縮となります。アフリカ喜望峰経由だと、およそ3,500マイルの遠回りの航海になります。仮に、時速20ノット(一時間20マイルの速度)だと、航海部分で175時間(およそ一週間)も余分に時間がかかります。これだけ時間の差があるので、通常時のコンテナ船は短いほうのスエズ運河を利用して運航します。

 

ところが、世界中で新型コロナウイルス感染が広まって海運貨物の量が減少した環境では、船余りの状態になり、経済対策(費用の削減)として、アフリカ周りを選択しているとのことです。アフリカ大陸経由の方が、燃料量を多く消費して燃料費は嵩む上に到着が遅れますが、それにもかかわらずスエズ運河を利用しないというのは、長く走る分の燃料費をはるかに上回るほどに、スエズ運河の利用料が高いからです。実際スエズ運河の利用料がどれほどかを調べてみたところ、日本船主協会の資料で協会会員の運河通行船・通航料支払い実績なるものを見つけました。日本船主協会の会員ですから、日本の海運会社の実績(2017年4月~2018年3月)となります、その中で、コンテナ船は、延べ隻数105隻で、通航料39,355千UDドルとのこと。1隻当りの通航料に焼き直すと、375千USドルで4千万円(@¥107/$)を超える額になります。たった1日で通過する運河に、これだけの額を支払う必要があるのです。

アフリカ喜望峰経由だと、175時間ほど遠回り(長い航海)になると前述しましたが、極めておおざっぱな推測値で計算すると、1時間当たり2kl消費の前提で合計350klほど、石油の消費が増えることになります。1kl当たりのC重油価格が30,000円(以下の注1をご参照)だと、南アフリカ回りの燃料消費額は1,000万円程度増加しますが、スエズの利用料より3,000万円ほどのコストセーブになります。消費量はエンジンの大きさにより違いがあり、また、燃料油単価も日々変動しますのでばらつきはありますが、ざっくり言ってこのような違いです。

注1:6月上旬の燃料油マーケットによれば、SOx(硫黄酸化物)規制に適合する重油(VLSFO)価格は1kl当たり、USD280~283(シンガポール)でした。円価にすると $282/kl x ¥107/$ ≒ ¥30,000)

 

本来なら海運会社とすれば、商売道具の船舶をフルに運航して、少々費用が高くなっても貨物運賃を多く稼いで、早く目的地に届けて次の航海につなげる方が、損益計算上も望ましいはずです。このコロナの影響では、船舶を埋める貨物が少ない中で、輸送時間が長く掛かってもコストの安いほうのアフリカ経由を、止む無く選択せざるを得ないのが実情のようです。

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