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ダイヤモンドプリンセス号のコロナウイルス対応について

コロナウイルスの感染が終息するに至っていません。

世界各地にも広がっているようで薄気味悪い状態が続きます。316日のテレビ情報ですと、日本において現時点でコロナ感染者総数が1,500人を超えましたが、その中にはクルーズ船のダイヤモンドプリンセス号関係の感染者が700人ほど含まれています。横浜停泊中にこのように、船内感染を広めてしまったことは、事実として重く受け止める必要があります。

船上での感染の予防処置にしても、感染してしまった患者への対応にしても、それらが的確であったかどうかについて、事実関係の整理をせずに断定してはいけないのでしょうが、適切な処置を施していれば、約700人にも及ぶ船内の感染者の増加は防ぐことが出来ただろうと考えます。ダイヤモンドプリンセス号の感染の経緯について簡単に触れますと、まず、125日に香港で下船した男性の感染が確認されたことにより、その時点に横浜に寄港中の本船が横浜港に留め置かれたままになり、それに伴い乗船客の船内での隔離が始まりました。暫くは隔離方針が続きますが、功を奏しないまま、感染者がじわじわ増加するに至ります。その後、25日から14日間の安全観察期間を経過するタイミングを機に退避措置が進み、3月中旬には乗客の下船は完了しているとのことです。

 

ダイヤモンドプリンセス号の場合、乗客・乗員計約3500人のところ、最終的には700人余りの感染者を出してしまいました。このような多数の感染原因は、船及び運営会社の対応が不適切だったことが一番の原因だと考えます。1人の感染者が香港で下船が確認された1月末の時点から一か月強の間に、船内感染者がどうして、このように増えたのかについて、いまだに問題点の整理が成されぬままに来ていると考えます。このまま、反省もなくクルーズビジネスの世界が進むのはまずいように感じます。

テレビ解説で、外航クルーズ船である“ダイヤモンドプリンセス”号について、船籍はイギリスで船員は多国籍、そして船の運営会社はアメリカの会社、さらには日本の横浜港に寄港中に起きたウイルス騒動ということで、一体、どこの国が責任をもって対処するべきかと言う点において、複雑だという指摘がありました。だからこそ、それぞれの役割と問題点を絞る必要があります。

 

日本の検疫法第5条の条文には 「・・・外国から来航した船舶・・・については、検疫済証の交付が無ければ、何人も、と当該船舶から上陸してはならない。・・・」と規定されていますので、あくまで規定に忠実な水際作戦のもと、病原菌を国内に入れさせず隔離するということで、日本政府は国家の処置として、法律に忠実に行動したと言えるのかもしれません。検疫法は、日本国への病原菌の侵入を防ぐことを求めていますが、船内の旅客に対して、安全な環境を保つという使命は、本来求めていないというのは、事実です。ただ、日本国の政治の判断が、それだけで済ますのは正しかったとは思えません。

結果とすれば、船内の環境が衛生管理上、隔離に相応しい環境ではなかった或いは適切な隔離方法ではなかったことから、船舶の環境が濃厚接触を促してしまったことは否定出来ません。それ(濃厚接触)を食い止めるのに、適切な判断が出来なかったのか、判断ができたとしても適切な処置ができなったかのどちらかでしょう。

恐らく、厚生労働省の専門家もそれをうすうす、感じ取っていたのかもしれませんが、検疫法の目的が、日本国内に病原体を侵入することを防止することにあるので、船客を閉じ込めること以上に頭が回らなかったのだろうと推察します。本来であれば、武漢に滞在している日本人を、政府専用機で帰国させてさらに千葉のホテルなどの施設に収容したように、徹底した管理体制を船内に、或いは国内の特定施設に構築して隔離する必要があったのだと考えます。そして、そのための船内での体制づくりを実際に進めるべきは、本来、船舶の運営会社だったのです。日本国の厚生労働省担当官は、ダイヤモンドプリンセス号の運営会社が日本国内の海運会社ではないので、誰と打ち合わせをしたらいいのか、対応に苦慮したのだろうと思われます。日本国家としてすべきことは、船内の管理体制を海運会社と協議することにより、船内をあるべき環境にするよう指示することだったと考えます。それが出来ないのであれば、外部隔離を含めた、ほかの選択肢の検討が必要だったのだと考えます。

 

クルーズ用の船舶を衛生管理上、最適な条件に整えるべき主体は、船舶の運営会社です。ダイヤモンドプリンセス号の場合は、アメリカのプリンセスクルーズ社です。今回の騒動で、同社の責任者が対応策を発表する場面が一切ありませんでした。

そのような緊急対応の準備やBCP (Business Continuity Plan:事業継続計画)の整備が成されていなかったのだと推察します。普段、乗組員は船内の旅客への通常時サービスの訓練を受けてはいますが、病原体の汚染が始まったのちの対応方法の準備は恐らくゼロであったと思います。お客さんに対しては通常のサービスを基礎に、丁寧な接し方をすればするほど、感染のリスクが高まったのだろうと容易に想像できます。その切り替えを十分にできず、船客・乗組員の濃厚接触が継続されたことが感染拡大の大きな原因だったのだと思います。

 

日本では、外航クルーズ船の人気が出てきたところです。これから益々の、新しい旅行のスタイルとして広がりが期待されるだろうと眺めていたところです。このコロナウイルス騒動は、日本のクルーズ業界としては向かい風であり、次なる発展にとっては乗り越えなければならない大きな障害となる恐れがあります。衛生管理や緊急事態時時の対応において船内の徹底を図り、それらを外部に発信していくことが、日本のクルーズ業界のこれからの務めだと考えます。

 

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